人形の骨格となる芯は、その素材も様々ですが、日本の気候風土に合った「わらの胴」や「木の胴」または「合成樹脂の胴」などがあります。 基本的には、手や足は針金を芯材に使い、木くずや綿を使って肉付けをしていきます。かっちりとしていてちょっと太めなのが最近の流行のようです。
西陣の金襴布地に型を取って裁断します。表地の柄を考えながら、ていねいに手作業します。プレス機のような機械で裁断した大量製品が多いのですが、当工房では一枚一枚生地を確認しながら、はさみで裁断しています。反物と呼ばれる「生地は生き物」という当工房のこだわりの部分です。
衿や袖などの部分ごとに縫い合わせ、さらにそれらの部分を縫合して打袴(うちばかま)や表着(うわぎ)等の形にまとめます。裁断・型取りされた金襴を、指示された型とうりに縫い込み、さらに縫い込まれた各部分を縫い合わせていくという、地道で集中力の要る作業工程を繰り返していきます。近年では、小さめのお人形が好まれる傾向があるので、さらに作業が複雑・精巧化しています。当工房では、小さめのお人形も得意としていたので、いち早く時代のニーズにこたえることが出来ました。 当工房では、機械を使う時間よりも、手作業で縫合する時間の方が長く、とても手間がかかる根気のいる仕事をしています。元々機械化の難しいお人形造りだからこそ、当工房の手造りのこだわりが生きてくる物と思います。確かに当工房の手間の掛かる作り方では作れる量が限られてしまいますが、その分一体一体にかける愛情が違うとも思うのです。これからも、人間の手で作った、それぞれに表情のあるお人形を作り続けていきたいと考えます。
出来上がった着物を胴体に着せ付けます。全体のバランスを見ながら、男は力強さを、女はやさしさを出せるように仕上げます。綿や布地を使って風合いを調整してより美しく仕立てます。
手を折り曲げ、全体の形を整えます。修正の出来ない大事な作業なので、一番気を使います。一息で仕上げ、形を作った後、手や足を取り付けます。肩帯や各種の部品を付けて最終チェックをします。当工房では最後に一度飾り付けてみます。最終確認をすると共に仕上がりを見直します。