江戸時代より受け継がれた技術と、伝統的な色彩に、
独特の技法と独自の色彩感覚を融合させたその作品は、
女性らしい優しさあふれる人形として注目を集めています。
素材から仕上げに至るまで全てをオリジナルとし、
鋭い感性で仕上げていくその作風は、作品の随所に現れる
細やかな気配りで感じ取る事が出来る、こだわりの女流職人です。
大里彩の作品造りは素材の選定からすでに始まっています。
京都や桐生などの織物の名産地をくまなく歩き、その金襴を見ながらインスピレーションを働かせて、
金襴本来の個性を活かせるような表現方法を模索していきます。「とうそ」と言われる素材を用いて造られた
ボディーは、動きのあるダイナミックな外観が特徴です。
このボディーに、はっきりした色使いと華やかさを心がけて全体の金襴を木目込んでいきます。
大里彩師自ら言うように、濃い目の色が好きだと言う金襴の選定は、まさに天性のセンスの良さを
うかがわせるものがあります。「金襴は良い物を使った方が楽に仕上がるんですよ。」と笑う大里彩師ですが、
妥協を一切排除したその素材の選定と製作工程には、数々のアイデアと情熱が込められています。
また、岩槻出身の大里彩師は幼き頃からその環境から数多くの人形と出会って来ました。
そこで養われた独自の世界観と見る目の厳しさは、今でも健在です。
現在は工房を千葉に移して日々製作に励んでいますが、外注を一切排除し、クレームの無い
きれいな商品製作に心をさいています。また、良い物を永く飾ってもらえるように、髪の毛は玉ぐしも丸くして、
バサバサしないようにするなどの細かい配慮もなされています。
女性ならではの、女性の為の木目込み人形造りに精通する、こだわりの女流木目込作家です。